龍の刺青をした天才ハッカーによる脅威の情報収集能力により事件解決!?ミステリー映画「ドラゴン・タトゥーの女」(2011年)
ドラゴン・タトゥーの女(2011年)
2011年のアメリカのミステリー映画です。
この映画は、スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンの3部構成の推理小説「ミレニアム」の第1部を原作としています。
タイトルの「ミレニアム」は、物語に登場する雑誌名を指しています。
推理小説「ミレニアム」の3部構成の各タイトルは「ドラゴン・タトゥーの女」「火と戯れる女」「眠れる女と狂卓の騎士」となっています。アメリカで作られた本映画とは別に、本家スウェーデンでは3部とも映画化されています。
さらに小説の4部以降は、ダヴィド・ラーゲルクランツという別の作家により続編として、2015年に「ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女」、2017年に「ミレニアム 5 復讐の炎を吐く女」、2019年に「ミレニアム 6 死すべき女」が出版されています。
基本情報
公開年:2011年
製作国:アメリカ
原題:The Girl with the Dragon Tattoo
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間:2時間38分(158分)
映論区分:R15+(15歳以上(15歳未満は閲覧禁止))
時代設定:2006年頃
みどころ
【みどころ①】天才ハッカー、リスベットの情報収集能力
【みどころ②】マルティン自宅内でのミカエルとマルティンのやり取り
【みどころ③】リスベットによるミカエル救出
スタッフ
監督:デヴィッド・フィンチャー
<主な作品(監督)>
「エイリアン3」(1992年)
「セブン」(1995年)
「ファイト・クラブ」(1999年)
「ゾディアック」(2007年)
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(2008年)
「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)
「ドラゴン・タトゥーの女」(2011年)
「ゴーン・ガール」(2014年)
キャスト
ダニエル・クレイグ
<主な作品>
「トゥームレイダー」(2001年)
「ロード・トゥ・パーディション」(2002年)
「レイヤー・ケーキ」(2004年)
「ミュンヘン」(2005年)
「007」シリーズ
・「007 カジノ・ロワイヤル」(2006年)
・「007 慰めの報酬」(2008年)
・「007 スカイフォール」(2012年)
・「007 スペクター」(2015年)
・「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ(2020年)
「ドラゴン・タトゥーの女」(2011年)
「ローガン・ラッキー」(2017年)
「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(2019年)
ルーニー・マーラ
<主な作品>
「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)
「ドラゴン・タトゥーの女」(2011年)
「サイド・エフェクト」(2013年)
「her/世界でひとつの彼女」(2013年)
「キャロル」(2015年)
「PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜」(2015年)
「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」(2016年)
「ローズの秘密の頁」(2016年)
「A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー」(2017年)
「ドント・ウォーリー」(2018年)
「マグダラのマリア」(2018年)
本作では、「アカデミー主演女優賞、ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門)」にノミネートされ受賞には至っていませんが、それぐらい注目された演技をしています。
受賞歴
第84回アカデミー賞(2012年)
・編集賞(カーク・バクスター、アンガス・ウォール)
あらすじ ※ネタバレ注意
スウェーデンの雑誌「ミレニアム」の記者ミカエル(ダニエル・クレイグ)は、大物実業家ヴェンネルストレムの武器密売をスクープするが十分な証拠がなく、名誉毀損(めいよきそん)裁判で敗訴し全財産を失い窮地に陥っていた。
別の大物起業家ヘンリック・ヴァンゲルの弁護士ディルク・フルーデは、ある仕事を依頼するため調査会社へミカエルの調査を依頼していた。その調査を担当したのがドラゴンの刺青を背中に入れた変わり者のリスベット・サランデルという女性調査員だった。
調査の結果、ミカエルのもとに弁護士フルーデ経由で大物起業家ヘンリックからある依頼が舞い込む。ミカエルは、話の詳細を聞くためストックホルムからヘンリックのいるスウェーデンのヘーデスタ島へ向かう。
その依頼内容とは、表向きは伝記の執筆ということで、実際は40年前にヘンリックが我が子のように可愛がっていたヘンリックの兄リカルドの孫娘ハリエット(当時16歳)が忽然(こつぜん)と姿を消した迷宮入り事件の再調査の依頼だった。
報酬はミカエルが現在もらっている給料の2倍、謎が解けたら4倍、更に名誉毀損裁判の相手ヴェンネルストレムについて有罪になる証拠をヘンリックは渡すという。
ミカエルは、ヘンリックからヘーデスタ島にあるコテージを与えられ、そこで調査を開始する。
ミカエルは、早速、当時の刑事モレルを取材し、ヘンリックから提供された調査資料の中にあったハリエットのメモ帳に記載されていた「5人の名前・イニシャル、謎の数字」ついて確認するが有力な情報はつかめなかった。モレルはハリエット失踪事件はレベッカ事件と同じような未解決事件だという。
一方、調査員リスベットは脳出血で倒れた前の後見人の代わりに、新しい後見人ビュルマンをつけられる。
リスベットには、12歳の時に性的虐待をしていた父親を焼き殺そうとして精神科に入院させられた過去があった。その後も共謀行為を繰り返し、飲酒や薬物、さらに逮捕歴があり、23歳になった現在でも精神科医は後見人を必要とする判断を下していた。
調査を続けるミカエルは、ヴァンゲルグループの会長であり、ヘンリックの孫でもあるマルティンの家に向かう。その途中、マルティンの愛人リヴに偶然会い車に乗せてもらいマルティンの家に一緒に向う。到着後、3人で食事をしながらハリエットとのことを聞くが有力な情報は得られなかった。
ある日、ヘンリックの姪(兄の娘)セシリアがミカエルのコテージに挨拶に訪れ、ヴァンゲル一族のことが本になることについて嫌悪感を示す。
ハリエットのことをそれとなく聞くがセシリアの妹アニタの方がハリエットと仲が良かったので聞いてみてはと言われる。
ヘンリックの一族には、ヘンリックの伝記を執筆するために情報収集することになっていたが、ヘンリックとマルティン以外はミカエルを歓迎しておらず非協力的だった。
ある日、リスベットは地下鉄でひったくりにあいノートPCを壊される。新しいノートPCを買うためにお金の管理をしている後見人ビュルマンに頼みに行くが、そこで性的行為を強要される。
ミカエルは、ハリエットのことを聞くためにロンドンにいるセシリアの妹アニタに会いに行く。アニタには叔父ヘンリックの伝記を書いていることを伝え、1960年代のハリエットについてそれとなく聞き出すが、事件解決につながる情報は得られなかった。
その頃、リスベットは、またお金が必要になりお小遣いの前借りを後見人ビュルマンにお願いし自宅に行くが、ビュルマンの欲望はさらにエスカレートし、リスベットはベッドに拘束されひどい性的虐待を受ける。
そんな中、ヘンリックとマルティンの提案により、ミカエルが離れてから経営危機にあった雑誌社「ミレニアム」へのヴァンゲル産業の経営参画がテレビで発表される。
その頃、ミカエルはハリエットに関する資料を調べていると、ヘンリックが所有するヘーデスタ通信がとったハリエットがパレードに参加している写真が偶然目につく。更に他のパレードの写真を調べるとハリエットが通りの迎えで誰かを見て逃げていくことに気づく。
一方、リスベットは反撃のため、後見人ビュルマンの自宅に訪れ、ビュルマンにいきなりスタンガンを押し当て気絶させたあとベッドに拘束する。リスベットは前回の性的虐待を全て録画しており、リスベットに有利な報告書を書かなければ、その映像をネットにばらまくと脅す。さらにビュルマンの体に”俺はレイプ魔のブタ野郎”というタトゥーを掘り、二度と性的虐待ができないようにする。
ある日、ミカエルのコテージに聖書の勉強をしていた娘が訪れ、デスクの横に貼り付けていたハリエットのメモ帳の5人の名前を聖書の引用だというヒントを得る。ミカエルは聖書と照らし合わせ、聖書からの引用であることを確信する。
再び元刑事モレルに電話をかけてレベッカ事件についてラストネームを確認する。ミカエルは、ハリエットのメモ帳にある“R.J”というイニシャルが、1940年代に惨殺死体となって発見された、レベッカ・ヤコブソンのイニシャルで未解決のレベッカ事件だったことに気づく。
ミカエルは調査に助手が必要だと判断し、ヘンリック・ヴァンゲルの弁護士ディルク・フルーデから自分を調査したリスベット(ルーニー・マーラ)を紹介される。実は、ミカエルがこの依頼を任されるにあたり信用に値する人物か身元調査を担当していたのが彼女だった。
ミカエルはリスベットの家を訪ね、依頼する仕事に興味があれば手伝って欲しいと頼む。リスベットは調査内容のあらましを聞き、すぐに調査を開始する。
リスベットはハリエットのメモ帳にあった残りの4人を調べるため、警察のデータをハッキングするが警察資料としてデータ化されていなかった。
メモ帳にあった4人の名前は、レベッカと同じく惨殺死体で発見された女性たちの名前で、いずれの事件も未解決だった。レベッカ含め5人は全員ユダヤ人であり、それぞれレビ記(旧約聖書中の一書)に記されている通りの異常な殺害方法で殺されていた。ヴァンゲル家にはユダヤ人嫌いが多く、ヘンリックの兄もナチ信者だった。どうやらハリエットも、この連続殺人事件の犯人を追っていた。
ミカエルは露骨な嫌がらせを受けるようになり、ヘーデスタ島内を散策していると銃で命を狙われる。頭に怪我を負いながら何とかコテージに逃げ帰ったミカエルは、リスベットに傷を縫ってもらう。そしてリスベットは自ら裸になり、ミカエルとベッドを共にする。彼女はミカエルに気持ちを寄せていた。
リスベットはヴァンゲル・グループと女性たちが殺された町との関連を調べるため、会社の資料室にこもって膨大な資料を調べていく。ミカエルはパレードの現場にいた女性を探し、その女性から当時の写真を入手する。
リスベットの調査により、4件の殺害現場にヘンリックの弟ゴッドフリートがいたことが判明する。しかし5件目の事件は、ゴッドフリート死去後の1967年にウプサラという町で起きていた。
ミカエルはパレードでハリエットが怯えたように見つめていたのはマルティンだったことに気づく。更にマルティンが着ていた制服の紋章は、ウプサラで殺害されたレーナ・アンデションの制服の紋章と同じで、つまり2人は同じ高校に通っていたことに気づく。
ミカエルはさらに情報を得るため、マルティンの家に行くがマルティンは不在。ミカエルはマルティンの家に入り家の中を調べる。そこへマルティンが帰宅し、ミカエルは帰ろうとするがマルティンに引き留められ家に入るよう誘われる。
同じころリスベットも会社の資料室で、ハリエットがパレードで見つめていたのはマルティンだったことに気づきマルティンが犯人だと確信する。
一方、ミカエルはマルティンに捕まり地下室に案内され監禁される。そこはマルティンが殺しの時に使う処刑部屋だった。マルティンはミカエルにハリエットについて聞くと、マルティンに「あんたが殺した」というが、その答えが気に入らなかったのかミカエルを殺す準備を始める。
ミカエルはマルティンに殺されかけるが、ミカエルの危険を察したリスベットが処刑部屋に現れ、ゴルフクラブでマルティンの顔に一撃を入れミカエルは救われる。
マルティンは、歪んだ顔でふらつきながらも車で逃亡する。リスベットはバイクでマルティンの後を追うが、マルティンは逃げる途中に事故を起こして死亡する。
ミカエルは地下室でのマルティンとの会話で、ハリエットについて真相をつかんでいないことを知り怒り出したことから、マルティンがハリエットを殺していないことを確信する。またハリエットはどこかで生きているのではないかと予想する。そして、ハリエットと仲が良かったロンドンのアニタを再び訪ね、マルティンに殺されかけたことを伝えると、アニタは全てを話しだした。
実はアニタこそがハリエットだった。ハリエットは、14歳の時から父親のゴッドフリートに性的虐待を受けていた。
ゴッドフリートが溺死した日、いつもより泥酔した父親から殺害した女性の自慢話を聞かされハリエット自身も殺されそうになる。桟橋へ逃げた自分を追ってきた父親をハリエットはオールで殴って溺死させた。それをマルティンが見ていた。そして今度はマルティンから性的虐待を受けるようになる。
ヘンリックはマルティンをウプサラの高校へやったことにより、ようやく悪夢が終わるかと思ったが、パレードの日、兄マルティンの姿を見たハリエットは、従兄弟のアニタに協力してもらいヘーデスタ島から脱出して姿を隠した。
一連の殺害事件は、ゴッドフリートとその息子マルティンの犯行だった。
ミカエルは、病から回復したヘンリックい調査の報告を行いヴァンネルストレムの有罪の証拠を渡される。 さらにハリエットはヘンリックと感動の対面を果たす。ヘンリックは号泣しハリエットを抱きしめる。
ミカエルは、ヘンリックから受け取ったヴァンネルストレムの有罪の証拠が古すぎて使使えないことを弁護士ディルク・フルーデに訴えるがどうにもならなかった。
リスベットはミカエルのためにヴァンネルストレムの確かな情報を集め、ミカエルは再度彼を告発する。さらにリスベットは変装してヴァンネルストレムの裏金を全額引き出し、スイスの口座へ移す。逃亡していたヴァンネルストレムは至近距離で頭部に3発とマフィアによって処刑され遺体で見つかる。
ミカエルは地位と名誉とお金を取り戻すことができた。しかしリスベットが裏で動いていたことは知らない。
リスベットは、クリスマスにミカエルへカードとライダースジャケットのプレゼントを用意して、彼の自宅下まで行が、仲がよさそうにミカエルとミレニアム編集長のエリカが出てくる姿を見かける。
リスベットは、声もかけずに用意したプレゼントを近くのゴミ箱に捨てバイクで走り去っていく。
感想
映画全体のイメージとしては「舞台は雪の降るスウェーデン、登場人物の服に黒が多い、リスベットがパンク風」などモノトーン調の映画です。
推理小説を映画化した作品でミステリー映画の王道といった感じの映画です。映画の中心となるミカエルとリスベットが人間的に魅力のある人物でストーリーに引き込まれます。ヴァンゲル一族の身内がたくさん出てきますので、顔・名前・関係性を理科ウするのが難しいかもしれませんが、その辺りがついていければかなり楽しめると思います。
映画内に登場するリスベットは、パンク風の個性的な女性でドラゴンのタトゥーを背中に入れています。タイトルの「ドラゴン・タトゥーの女」はそこから来ています。
リスベットは情報収集能力に優れ、バイクの運転も上手く男勝りな運転をします。映画内でゴルフクラブで犯人を強打するシーンがありますが、よくピンポイントで顔に当てたと思います。アメコミのような超人的な能力はありませんがスーパーガールのような存在です。
それに対してダニエル・クレイグ演じるミカエルは、真面目でわりと気が弱いところがあります。記者の割にはいい人ですが、普通のお父さんといった感じです。ダニエル・クレイグは、今作では映画007の時の屈強なボンド役と全く違う人物を演じています。
この映画がよかった人へのおススメ映画
ディパーテッド(2006年)
評価
3.9点/5点満点