2093年、人類創造のルーツを探す壮大な宇宙の旅、エイリアンの原点!リドリー・スコット監督作品、SFホラー映画「プロメテウス」(2012年)
プロメテウス(2012年)
2012年のアメリカのSFホラー映画です。
本作は、映画「エイリアン」(1979年)の前の出来事として描かれた作品です。
一言でいうと、地球上の古代文明の遺跡をもとに、人類創造のルーツを宇宙へ探しに2年以上の航海を得て、人類の祖先が作った軍事基地で兵器となるエイリアンに似た生命体と遭遇するといった物語です。
映画エイリアンシリーズを時系列に並べると以下になります。
(1)「プロメテウス」(2012年)
(2)「エイリアン:コヴェナント」(2017年)
(3)「エイリアン」(1979年)
(4)「エイリアン2」(1986年)
(5)「エイリアン3」(1992年)
(6)「エイリアン4」(1997年)
本作に登場する異星人エンジニアたちの宇宙船(オリジナルストーリーでは遺棄船として登場)とそのコックピット、尖った頭を持つ生命体、フェイスハガーのプロトタイプ(寄生生物)などは、慎重に「エイリアン」(1979年)と整合性が計られています。
宇宙船コックピット(H.R.ギーガー原画)
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フェイスハガー
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基本情報
公開年:2012年
製作国:アメリカ
原題:Prometheus
配給:20世紀フォックス
上映時間:2時間4分(124分)
映論区分:PG12(12歳未満の年少者の閲覧には、親又は保護者の助言・指導が必要)
時代設定:2093年
みどころ
【みどころ①】エイリアンを作り上げた天才H.R.ギーガーのデザインによる異星人、宇宙船、生命体のデザイン
【みどころ②】異星人の宇宙船の離陸とプロメテウス号の衝突
【みどころ③】持ち帰った異星人エンジニアの頭部の解剖
【みどころ④】異星人のエンジニアと思われる人間大の生命体が走って行くホログラム
スタッフ
監督:リドリー・スコット
<主な作品(監督)>
「エイリアン」(1979年)
「ブレードランナー」(1982年)
「ブラック・レイン」(1989年)
「グラディエーター」(2000年)
「ハンニバル」(2001年)
「ブラックホーク・ダウン」(2001年)
「オデッセイ」(2015年)
キャスト
ノオミ・ラパス
<主な作品>
「ミレニアム」シリーズ
・「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009年)
・「ミレニアム2 火と戯れる女」(2009年)
・「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」(2009年)
「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」(2011年)
「プロメテウス」(2012年)
「セブン・シスターズ」(2017年)
マイケル・ファスベンダー
<主な作品>
「ハンガー」(2008年)
「イングロリアス・バスターズ」(2009年)
「X-MEN」シリーズ
・「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」(2011年)
・「X-MEN: フューチャー&パスト」(2014年)
・「X-MEN: アポカリプス」(2016年)
・「X-MEN: ダーク・フェニックス」(2019年)
「SHAME -シェイム-」(2011年)
「プロメテウス」(2012年)
「それでも夜は明ける」(2013年)
「スティーブ・ジョブズ」(2015年)
「アサシン クリード」(2016年)
「エイリアン: コヴェナント」(2017年)
ガイ・ピアース
<主な作品>
「プリシラ」(1994年)
「L.A.コンフィデンシャル」(1997年)
「メメント」(2000年)
「タイムマシン」(2002年)
「ハート・ロッカー」(2008年)
「英国王のスピーチ」(2010年)
「ロックアウト」(2012年)
「プロメテウス」(2012年)
「アイアンマン3」(2013年)
イドリス・エルバ
<主な作品>
「マイティ・ソー」シリーズ
・「マイティ・ソー」(2011年)
・「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」(2013年)
・「マイティ・ソー バトルロイヤル」(2017年)
「プロメテウス」(2012年)
「パシフィック・リム」(2013年)
「マンデラ 自由への長い道」(2013年)
「ビースト・オブ・ノー・ネーション」(2015年)
「ズートピア」(2016年)
「ジャングル・ブック」(2016年)
「スター・トレック BEYOND」(2016年)
「モリーズ・ゲーム」(2017年)
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018年)
「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」(2019年)
ローガン・マーシャル=グリーン
<主な作品>
「プロメテウス」(2012年)
「砂の城」(2017年)
「スパイダーマン:ホームカミング」(2017年)
「アップグレード」(2018年)
シャーリーズ・セロン
<主な作品>
「モンスター」(2003年)
「ミニミニ大作戦」(2003年)
「イーオン・フラックス」(2005年)
「ハンコック」(2008年)
「あの日、欲望の大地で」(2008年)
「スノーホワイト」シリーズ
・「スノーホワイト」(2012年)
・「スノーホワイト/氷の王国」(2016年)
「プロメテウス」(2012年)
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015年)
「ワイルド・スピード ICE BREAK」(2017年)
「アトミック・ブロンド」(2017年)
「タリーと私の秘密の時間」(2018年)
「スキャンダル」(2019年)
「オールド・ガード」(2020年)
受賞歴
なし
第85回アカデミー賞(2013年)で「視聴効果賞」にノミネートされましたが受賞に至っていません。その時の「視聴効果賞」は「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」が受賞しています。
あらすじ ※ネタバレ注意
太古の昔、岩と激流だけの惑星に降り立った人型の異星人が半球形の容器に入った黒い液体を飲み、身体は崩れる様に分解されそのまま滝壺に身を投げる。身は激流に溶けてゆき、自らのDNAを惑星に拡散させた。
時は流れて西暦2089年、考古学者のエリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)とチャーリー・ホロウェイ(ローガン・マーシャル=グリーン)は、スコットランドのスカイ島の古代遺跡からある壁画を発見する。
その壁画の構図はそれまで複数の古代文明で見つかった物と明らかに共通点が見られるものだった。ここから人類が追い続けていた種の起源の答えとなる未知の惑星の存在が浮かび上がる。
ウェイランド社が選抜した科学者たちを中心に編成された調査チームは、ギリシャの神から名付けられた宇宙探査船プロメテウス号に乗り込み、地球から3.27×10の14乗キロ離れた星図の示す別の星を目指して出発する。
乗組員が冷凍休眠で眠る間、アンドロイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)が航行を担当し、来るべき異星人との意思疎通に備え、祖語の学習・研究に励む。
2093年12月21日、プロメテウス号の機関が自動停止し、目的地である惑星LV-223の周辺に到着した事を知らせる。
冷凍休眠から目覚めた乗組員は、故人となったウェイランド社の社長、ピーター・ウェイランド(ガイ・ピアース)の2091年6月22日に録画かれたホログラム映像による激励と今回の調査目的について説明を受ける。
さらに、ショウはホログラムの社長ウェイランドから説明を引き継ぎ、「エンジニア」なる異星人が存在し、それが人類誕生の謎を解く創造主だと語る。
ウェイランド社の重役にして調査ミッション責任者のメレディス・ヴィッカーズ(シャーリーズ・セロン)は、この計画に否定的で、万が一異星人のエンジニアと遭遇しても、近づいたり話したり一切せずに直ちに自分へ報告するよう忠告する。
12月25日、プロメテウス号はLV-223の大気圏に突入し、着陸地点の探していたところ滑走路のような直線と巨大なドーム状の岩山を発見し、その近くへ着陸する。
6時間で日没が迫るので船外活動に難色を示す船長ヤネック(イドリス・エルバ)の制止を聞き入れないホロウェイたちは、クリスマスだから早くプレゼントを渡したいと調査隊を結成し岩山へ向かう。岩山に見えたのは、人工的に造られた何らかの構造物だった。
構造物内部でデヴィッドが映像記録装置を発見し、起動させると異星人のエンジニアと思われる人間大の生命体が走って行くホログラムが再生され、その先にドアで頭部が切断された異星人のエンジニアの死体を発見する。
測定により、その死体は約2千年前のものと分かる。ドアを開くと異星人エンジニアの頭部と巨大な頭の石像と円筒形の容器が無数に置かれた部屋が見つかる。壁面には細長い頭を持つ人型のレリーフがあり、部屋の床面にはミミズのような小生物が棲息していた。
一方、外では急速に天候が悪化し、嵐が接近していた。そのため調査隊は撤収を余儀なくされる。デヴィッドは、秘密裏に容器の一つを持ち出し、彼が立ち去った後、残された容器からは黒い液体があふれ始めていた。
一方、異星人エンジニアの死体に不安感を抱き、先に帰ったはずの生物学者ミルバーンと地質学者ファイフィールドの二人は構造物の中で迷い、取り残されてしまう。彼らは内部をさまよい歩くうちに異星人エンジニアの死体の山を発見する。
プロメテウス号に戻ったショウたちは、持ち帰った異星人エンジニアの頭部からDNA型を分析したところ、人間のDNAと完全に一致することを発見する。
同じ頃、別室でデヴィッドは円筒を開き、中のアンプル状の容器から黒い液体を採取する。
一方、ホロウェイは船内でくつろいでいたが、そこへデヴィッドが現れ語りかける。彼は採取した黒い液体をシャンパンに密かに混入しホロウェイにすすめ、ホロウェイはシャンパンを一気に飲み干す。
ショウが自室にホロウェイを呼び出し、異星人エンジニアと人間のDNAが同じであることを伝え、二人はそのまま性交する。
夜もふけ、船長ヤネック以下プロメテウス号の乗組員全てがくつろいでいる最中、ミルバーンとファイフィールドは構造物内をさまよい歩き続け、やがて円筒形の容器が無数に置かれた部屋にたどり着く。
そこであふれ出た黒い液体のたまり場から何か生き物が飛び出す。それはミミズのような小生物が変異した乳白色で蛇のような軟体生物であった。
突然それがミルバーンに襲い掛かり、強い力で腕に巻きつき、腕をへし折ってしまう。ファイフィールドが引き剥がそうと生命体の身体を傷つけると噴き出した血液がファイフィールドのヘルメットを溶かし、彼は黒い液体の中へ転倒する。軟体生物はミルバーンの溶けた服の隙間からヘルメットに入り込み、口から体内へ侵入して彼を殺害する。
翌朝、ホロウェイは洗面所の鏡に映る自分を見て、身体に異変が起きていることに気づく。
嵐は静まり、調査隊は再び構造物へ向かう。その内部でミルバーンの死体を発見するが、ファイフィールドの姿は消えていた。
デヴィッドはまたも別行動で秘密裏に異星人エンジニアの宇宙船の操縦室を発見し、ホログラム映像からその操縦法を学習、異星人エンジニアの一人が冷凍冬眠状態で生存していることを発見する。
一方、ホロウェイの体調は急速に悪化し、調査隊は彼をプロメテウス号に連れ帰る。しかし、船内感染を恐れたヴィッカーズは火炎放射器を向けて彼の乗船を拒み、押し問答の末もう助からないと覚悟を決めたホロウェイは彼女の前に進み出し、放たれた炎で焼け死んでしまう。それを見たショウはショックのあまり気絶する。
やがてショウが目覚めると、目の前にデヴィッドが戻ってきていた。
体内スキャンの結果、わずか10時間前のホロウェイとの性交で、彼女は先天的不妊症にもかかわらず妊娠3ヶ月の状態と知らされ、しかもそれは人間以外の生命体であることが判明する。
体内で未知の恐るべきものが急速に成長していると確信したショウは、中絶せず地球に戻るまで長期睡眠させようとするクルーたちから逃れ、ヴィッカーズの居室兼専用の帰還モジュール内にある全自動手術装置メディカルポッドで手術を受ける。
彼女は苦しみもだえながらも何とか摘出手術に成功、体内から取り出されたのは、タコのような触手を持つ異形の生命体だった。パニックにおちいったショウはそれを全自動手術装置の中に閉じ込めその場から逃げる。
一方、行方不明だったファイフィールドが突如プロメテウス号に戻ってきた。しかし、彼はもはや人間ではなくなっていた。知性は失われ、顔は溶けてただれ、人間以上の身体能力を身に着けていた。
ファイフィールドに最初に歩み寄った隊員が殺され、暴れ回ったファイフィールドはさらに数人を殺したが、ヤネックらによって車両でひきつぶされ焼き殺される。
その間、ショウは既に死亡したと思われていた社長ウェイランドが、プロメテウス号の一室に同乗していたことを知る。
デヴィッドがヴィッカーズの指示に従わない行動を見せたのは、社長であるウェイランドの命令が優先されたからであり、彼は創造主たる異星人エンジニアと会い、自分を老衰による死から救ってくれるよう直接頼みこむためだった。しかしショウはこの惑星に来たことは間違いだったと述べる。
船長ヤネックはショウに対し、この惑星はもともと異星人のエンジニア達の母星ではなく、彼らが作りだした兵器(黒い液体)をテストするための軍事基地であり、異星人エンジニアたちはその兵器をコントロール出来なくなり全滅したのではないかという。
社長ウェイランドたちは支度をして異星人エンジニアの宇宙船操縦室へ向かう。
見送るヴィッカーズはウェイランドを「父」と呼ぶ。デヴィッドは冷凍冬眠中の異星人エンジニアを目覚めさせウェイランドの要求を申し入れるが、突然デヴィッドの頭部を引きちぎり、ウェイランドたちを次々と襲い、ショウだけがなんとか逃げ延びる。
異星人エンジニアは、更に操縦室に乗り込み離陸の準備を始める。ショウは宇宙船から脱出するが、機能し続けるデヴィッドから、エンジニアが生物兵器を地球に拡散させるつもりであると連絡を受ける。
ショウは異星人エンジニアが地球の破壊に向かうとヤネックに報告し、飛び立とうとする宇宙船を阻止するよう説得する。
ヤネックと副操縦士二人はプロメテウス号を宇宙船に激突させ墜落させることに同意するが、ヴィッカーズは船との心中を拒否し、ヤネックは彼女に脱出ポッドを使用して40秒以内の脱出することを指示する。
ヤネックは、先にヴィッカーズ専用の居住モジュールを本船から発射し、次にヴィッカーズが非常用脱出ポッドで脱出。船長ヤネックたちはそのままプロメテウス号でエンジニアの宇宙船を追跡し衝突して撃墜する。
衝突寸前のところでプロメテウス号から脱出したヴィッカーズだが、そこへ爆発した宇宙船の破片が降り注ぎ、墜落してきた宇宙船の下敷になり死亡する。
同様に下敷きになりそうになったショウは、岩と宇宙船との隙間でかろうじて助かる。
気密服の酸素残存量減少の警告音で目を覚ましたショウは追加の酸素を得るためヴィッカーズの居住モジュールへ入るが、摘出処置を受けた全自動手術室内に、幼体から巨大な姿に成長した生命体がいるのを発見する。
するとそこへ墜落から生き延びた異星人エンジニアがやって来て、ショウに襲い掛かるが、彼女は手術室の扉を開放し、巨大化した生命体が異星人エンジニアに襲いかかり、その間にショウは逃げ出す。異星人エンジニアは生命体と格闘するが頭部に絡みつかれ殺害される。
ショウは絶望に打ちひしがれたが、無線通信でまだ機能するデヴィッドの声が聞こえてくる。
そこでショウは破壊されずに残っていたバギーで墜落した宇宙船へ向かい、異星人エンジニアの宇宙船の操縦方法を習得したデヴィッドを回収、更に別のドームに残されていた宇宙船へ向かう。
ショウらはLV-223は死の星であり、このメッセージを受信しても決して発信源を探さない様にと警告を残す。そして一連の行動の動機を探求すべく、2094年1月1日、宇宙船を使って彼らの母星を目指し旅立つ。
一方、残された居住モジュール内で倒れていた異星人エンジニアの胸を突き破り、尖った頭を持つ新たな生命体が出現する。それは立ち上がるとうぶ声を上げ、口の中からもう一つの飛び出すのだった。
感想
太古の地球と異星人の星の映像が非常に美しく壮大さを感じさせます。また、音楽は地味目ですが、映画の雰囲気によく合ったセンスの良い音楽だと思いました。
映画内では、エンジニアと言われる異星人1種類と生命体1種類が登場しますが、生命体は、それぞれに役割があるようで小さなものを含めると3種類以上の形態が存在します。
映画としては、人類創造の謎を解くような設定ですが、実際は人類創造の本質を突くというものではなく、エイリアン創成の物語となっています。エイリアンシリーズの他の作品との物語の設定に関する整合性は、緻密にされていると思います。
終わりの方で登場する生命体は、頭の形が長くエイリアンに似ていますが少し違いました。エイリアンファンとしては、エイリアンに似た生命体をもう少し登場させて欲しかったと思います。
世間の評価はそんなに高くありませんが良作だと思います。
この映画がよかった人へのおススメ映画
エイリアン: コヴェナント(2017年)
エイリアン(1979年)
エイリアン2(1986年)
評価
4.0点/5点満点